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春になると、部屋の模様替えをしたくなりますね。
北欧は冬が長く、日照時間も短いため、そこに住む人々は、光に対する憧れが強いといいます。そのため照明への関心が高く、部屋を少しでも明るくしたい、そんな気持ちが大胆なファブリックのデザインなどにも表れています。そして何よりも「暮らし」そのものを楽しむ気持ちが優れた家具、ファブリック、食器など生活雑貨品を生み出したといえるでしょう。「暮らしを楽しむ」そんな思いで日本の私達も北欧スタイルを取り入れてみませんか。
■北欧デザインの魅力
北欧の国々は、木工芸の伝統技術やガラス工芸などの伝統技術が古くから盛んでした。その技術が受け継がれ、現代のモダンデザインにつながってきたのです。北欧のデザインの魅力は、機能的なこと、シンプルで無駄がなく、飽きがこないこと、温かみを感じさせるものが多いことなどが挙げられます。半世紀以上も前に作られたデザインが現在も愛されているのは、その普遍性にあるといえます。北欧デザインは、日本文化の影響も受けていると言われています。そういえば、シンプルなデザインは日本の茶室や庭園に通じるところもあるように思えます。日本で人気が高いのも、日本の住まいや暮らしに自然と馴染むところがあるからなのかもしれません。
■テーブルウェアも北欧スタイル
イッタラのガラス器やロールスストランドのカップ、ロイヤルコペンハーゲンの皿など、すっきりしたフォルムに独特の色や柄が美しい北欧食器は、日常使いにもぴったりです。長く作り続けられている定番デザインを選べば、シリーズで買い足したり、壊れても同じものが揃うので便利です。カラトリー類もカイ・フランクや、ジョージ・ジェンセンなど優れたデザインのものが手に入ります。
■和に北欧のエッセンス
トップの写真はリビングの続きに和室のある部屋です。北欧家具や食器がすんなり溶け込み、掛け軸の代わりにファブリックパネルをかけても違和感なくまとまります。
■北欧はひとつじゃない
ひとくちに「北欧」といいますが、実はデンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、アイスランドと5カ国の総称です。当前、国によって異なった歴史や文化を持っています。それぞれの国の特徴にも目を向けると、北欧の奥深さに気づきます。
デンマークDENMARK
デンマークはアルネ ・ ヤコブセンやハンス・ J ・ウェグナーという建築 ・ デザインの巨匠を輩出したデザイン大国です。一方、童話作家ンデルセンやレゴブロックなども人気の、メルヘンの国でもあります。
スウェーデンSWEDEN
最近ではIKEAの家具やH&Mのファッションなどでお馴染みのお洒落なイメージのあるスウェーデン。首都のあるストックホルムはノーベル賞の表彰も行われ、伝統的に文化意識の高い国です。
フィンランドFINLAND
サンタクロース発祥の地といわれるフィンランドは、教育レベルの高い国としても有名です。食器のイッタラや、ファブリックのマリメッコなどで日本人にはすっかりお馴染みですね。
ノルウェーNORWAY
氷河やヴァイキングのイメージがあり、海運業や漁業大国のノルウェーですが、北欧ジャズのメッカとしても有名で芸術活動も盛んです。国民の幸福度ランキング1位ということからも、生活の充実ぶりがうかがえます。
アイスランドICELAND
アイスランドは名前の通り、地表の10%が氷河でおおわれていますが、火山国で日本以上に温泉が豊富で、世界最大の露天風呂もあります。水力と地熱などの自然エネルギーを活用し、石油をほとんど使わないエコな国なのです。


北欧スタイルのインテリアを目指すなら、まずは一点、北欧家具を導入してみましょう。シンプルなデザインで高い機能性を備えた北欧家具は時代を超えた魅力が備わっています。そのため新品はもちろん、ヴィンテージと呼ばれる古い家具にも人気があります。ヴィンテージ家具はここ半世紀ほど前に作られたものがほとんどで、価格的にも意外にリーズナブルなものが多いです。良質の木材を使い、熟練の職人が一点一点作り上げた家具は、きちんと手入れしながら大切に使えば今後も長く使用することができます。なによりも、そこに積み重ねられた時間を感じることができ、愛着も湧いてくるでしょう。椅子、ソファ、テーブル、サイドボードなど気に入った家具を見つけたら、それを活かすようにコーディネートしていきます。まず最初は、椅子やサイドボードなどが手軽です。シンプルな分、ファブリック使いで表情が変わるので、取り入れやすいのです。

選び方のコツ
ヴィンテー ジの家具はチーク材が多く用いられています。チークは水に近く頑丈で、害虫にも強いので家具には最適な素材です。年月を経ると美しい飴色に変化していき、この深い色合いが何よりも魅力です。
ヴィンテージ家具といっても、おそるおそる扱うことはありません。メンテナンスは仕上げにもよりますが、乾拭きするくらいで、比較的ラクです。
北欧家具はおしゃれで小ぶりなものが多いので、それほどサイズを気にすることはありません。シンプルなデザインは、お手持ちの家具と組み合わせてもすんなり馴染みますし、むしろ組合わせの妙を楽しんで、わが家ならではのコー ディネ ートを楽しんでみてはいかがでしょうか。
北欧インテリアにファブリックは欠かせません。例えばフィンランドのマリメッコ社では「世界一有名な花柄」といわれるウニッコという柄があります。誰もが一度は目にしたことがあるでしょう。
ウニッコに代表されるように、北欧のファブリックは大胆な色使いやデザインのものが多く、シンプルなフォルムの家具と合わせることで、独特の北欧スタイルができあがります。美しいデザインのファブリックは、柄そのものがアートと言ってもいいので、ファブリックをパネルにして、色柄をそのまま楽しむ方法が手軽でおすすめです。フレームがない分すっきりしてシンプル。しかも軽量で、壁掛け、床置きと、さまざまな飾り方ができ便利です。サイズも比較的自由で、大きい一枚のパネルにしてもいいし、小さめのパネルを複数使いするのも洒落ています。生地をそのまま活かすならタペストリーにするのもおすすめです。大胆な柄は、移動や取替えも簡単なクッションカバーなどで楽しむのもいいですね。ファブリックは他にもランプシェードやスツールなどに加工することもできます。


北欧ファブリックには、大まかに分けて植物や動物など自然を大胆に取り入れた色柄のものと、直線や曲線を使ったグラフィカルな柄のものがあります。自然をモチーフにしたものは、特に長い冬が終わリ、生命の息吹が感じられる春を迎える喜びが感じられる、躍動感のあふれるものが多く、季節毎に取り入れるにはぴったりです。 グラフィカルなものはすっきりとシンプルなデザインが多く、長く使っても飽きがきません。
選び方のコツ
コーディネートのコツは、季節に合わせてテーマカラを決めるのがいいでしょう。春・夏と秋冬。迷ったら、グリーン系を選びましょう。観葉植物を置く感覚で使えます。たくさんの色・柄があって、迷ってしまうかもしれませんが、同じ柄で合わせ過ぎるのも、面白みがないと思います。北欧のファブリックは、メーカーが違ってもすんなり馴染むものです。テーマカラーを決めておけば、柄が違っても統一感は出せますし、自分の好きなものを選べば、テイストも自然とまとまってくるものです。